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米中戦争という今そこにある脅威
―― なぜ冷戦期の米ソ対立以上に危険なのか

アヴェリー・ゴールドシュタイン
ペンシルバニア大学教授
(グローバル政治、国際関係論)

China's Real and Present Danger

 Avery Goldstein ペンシルバニア大学教授で、専門はグローバル政治、国際関係論、戦略・安全保障論、中国政治など。同大学の現代中国研究所所長も兼務。最近の著作にRising to the Challenge: China's Grand Strategy and International Security (Stanford University Press, 2005)がある。

2013年9月号掲載論文

近年では、米中の東アジアにおける軍事戦略を規定してきた台湾という火薬庫の大きさは小さくなってきているが、中国と近隣諸国は、東シナ海や南シナ海における島や海洋境界線をめぐる領有権論争を抱えている。アメリカは、日本とフィリピンという二つの同盟国を守る条約上のコミットメントを何度も表明し、アジア・リバランシング戦略も、アジアで地域紛争が起きた場合にアメリカがそれを放置することはないというシグナルを中国に送っている。こうした現状における最大の問題は、米中が相手の死活的利益が何であるかについての了解を共有しておらず、しかも、危機管理のための信頼できるメカニズムも整備できていないことだ。紛争のリスクを高める、踏み外してはならないレッドラインが何であるかが曖昧なために、安全だと考える行動をとった場合でも、それが予想外に相手を挑発し、紛争のエスカレーションが起きかねない状況にある。

  • 米中軍事衝突の危険
  • 新たな紛争の火種
  • 危険に満ちた西太平洋の現状
  • 機能しないホットライン
  • SSBNというワイルドカード
  • 危機管理の強化を

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